12月の金曜日、仕事を終えてJR京浜東北線・大井町駅に降り立ったのは17時半ごろだった。年末が近づき、どこもかしこも人が増えるこの時期。正直なところ、「軽く一杯飲めればいい」くらいの気持ちだったのだが、頭の片隅にはずっと気になっていた一軒があった。
それが、大井町の「だるまや」。いわし料理を目当てにこの街を訪れる人がいると聞き、いつか行こうと思いながらも、混雑していることが多いという話に後回しにしていた店だ。この日は運よく、引き戸を開けるとすぐに「どうぞ」と声がかかり、カウンターの一角に滑り込むことができた。

テレビドラマ『孤独のグルメ』で紹介されたこともあり、名前だけが一人歩きしている印象もあったが、実際に暖簾をくぐってみると、そこにあったのは観光客向けの派手さではなく、長年この場所で夜を支えてきた小さな居酒屋の空気だった。
大井町の路地裏で出会う、いわし一筋の居酒屋「だるまや」
だるまやは、大井町駅から少し歩いた路地にある。派手な看板はなく、注意していないと通り過ぎてしまいそうな佇まいだ。引き戸を開けると、カウンターと小上がりが目に入り、どこか背筋が伸びるような、それでいて落ち着く空気が流れている。

店内は決して広くない。厨房の向こうでは親父さんが黙々と手を動かしている。その横で、女将さんが穏やかな声で注文を取り、常連らしき客と短い会話を交わしている様子が印象的だった。
ここがチェーン店ではないことは、一目でわかる。マニュアル通りの接客ではなく、その日その場の空気に合わせた距離感。料理を出すタイミングも、客のペースをきちんと見ているのが伝わってくる。こういう店に来ると、「ああ、今日はいい夜になりそうだ」と自然に思える。
切り立ての旨さに驚く──大井町「だるまや」のイワシの刺身
まずは迷わず、イワシの刺身を注文した。いわし料理を掲げる店で、刺身を食べずに帰るわけにはいかない。ほどなくして出てきた皿を見て、思わず心の中で「これで一人前?」とつぶやいた。

艶のある身が美しく並び、ビジュアルからして期待値が跳ね上がる。箸で持ち上げると、身はしっとりとしていて、切り立てであることがはっきりと伝わってくる。
口に入れた瞬間、脂の甘みがじんわりと広がり、いわし特有の香りはあるのに嫌な臭みが一切ない。ただ「美味い」。本当にそれしか言葉が出てこない。日本酒を一口含むと、無限に飲めてしまいそうな、危険なアテだ。

これだけの内容でこの量。コストパフォーマンスという言葉を使うのが野暮に感じるほど、満足度が高い一皿に、漫画の主人公である井之頭五郎同様、一人で唸る筆者がいた。
揚げたて熱々が食欲をそそる──イワシの梅じそ揚げ
次に頼んだのは、イワシの梅じそ揚げ。注文が入ってから、親父さんが梅肉を仕込み、衣をつけて揚げていく様子がカウンター越しに見える。程なくして揚げたてが運ばれてきた瞬間、立ち上る香りに思わず顔が緩んだ。

サクッと衣を噛むと、中からふっくらとしたイワシ。そこに梅肉の酸味と大葉の香りが重なり、イワシ独特の風味を見事に引き立てている。
何もつけずに、そのまま食べるのが個人的には一番好きだった。余計な調味を足さなくても、味が完成している。揚げ物なのに重さはなく、気づけば皿が空になっていた。
和と洋の交差点──イワシチーズロールを正直レビュー

梅じそ揚げがあまりに美味しかったので、勢いでイワシチーズロールも注文した。こちらは『孤独のグルメ』で井之頭五郎が食べたことで知られる一品だ。
揚げられた衣の中から、とろりと溶けたチーズが顔を出す。和風のイワシと洋風のチーズが混じり合う、少し変わり種の料理だ。チーズのコクが加わることで、確かに旨みは増している。
ただ、これはあくまで個人的な感想だが、イワシ本来の風味を楽しむなら梅じそ揚げのほうが一枚上手に感じた。とはいえ、チーズ好きなら一度は試してほしい一皿であることは間違いない。
五臓六腑に染み渡る──〆に必食のつみれ汁
そして最後に頼んだのが、つみれ汁。正直、これがこの日のハイライトだったかもしれない。一口飲んで、「美味い、やばい」と心の中で叫んだ。出汁の旨みが体に染み渡り、自然と肩の力が抜けていく。それ以上に驚いたのが、つみれの食感だ。

イワシを丸ごとすり潰したかのような、無骨で力強い食感。ふわふわとは対極にあるこの感じは、子どもには少し厳しいかもしれないが、イワシ好きなら確実にハマる。奥のほうに、ほのかに感じる柚子の香りも絶妙で、脳みそがバグるような感覚に陥った。

このつみれを食べずに帰るのは、正直もったいない。そう思わせてくれる〆の一杯だった。
東京でいわし料理が本当に美味しい店はどこ?
「東京でいわし料理が美味しい店は?」と聞かれたら、私は迷わず大井町のだるまやを思い浮かべる。流行りや映えを狙った店ではなく、目の前の一皿に真剣に向き合ってきた時間が、そのまま味に表れている。
大井町ランチや大井町グルメで検索しても、こうした夜の顔まではなかなか伝わらない。仕事終わりにふらっと立ち寄り、静かに酒と魚を楽しむ。そんな時間を求める人にこそ、知ってほしい店だ。
総評:大井町に住んでたら通いたくなる、いわしの隠れ家
少し厳かな雰囲気が漂う店内だが、親父さんと女将さんの丁寧な接客のおかげで、居心地は驚くほどいい。入口の引き戸は少し締まりが悪いので、しっかり閉めたほうがいい、なんていうのも含めて、この店らしさだと思う。

価格はリーズナブルで、内容を考えればむしろ良心的。近所にあったら間違いなく通ってしまうだろう。大井町で、チェーンでは味わえない海鮮料理、いわし料理を探しているなら、だるまやは間違いなくおすすめできる一軒だ。
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だるまや 大井町店
【住所】〒140-0004 東京都品川区南品川6丁目11−28
【最寄り駅】JR京浜東北線大井町駅から徒歩3分
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