中目黒「麺や みかん」ネオ・ノスタルジックを追求した中華そば
東急東横線・中目黒駅でラーメンを探すと、どうしても話題の店や賑やかなチェーンの名前が並びがちだ。しかしその日、私が求めていたのは“作り手の温度”がしっかり伝わる一杯。地元に根ざす店主が毎晩製麺機を回し、翌日分の麺を丁寧に仕込んでいる──そんな「手仕事の風景」が感じられる店だった。

そんな気分の中、偶然出会ったのが、中目黒の静かな通りに佇む「麺や みかん」。店名は果物のミカンではなく、「味を貫く(味貫)」という想いから名付けられていると聞き、思わず胸が熱くなった。強烈な個性を前に押し出すのではなく、淡々と、しかし揺るぎない姿勢で“旨い一杯”を追い込む──その姿勢に期待が膨らみ足を運んだ。
中目黒の落ち着いた路地で出会う「麺や みかん」
店の前に立つと、必要以上に派手さを出さない落ち着いた外観が迎えてくれる。ガラス越しにのぞくと、カウンターだけのコンパクトな店内が見えた。無駄なものが一切なく、ふわりと醤油の良い香りが漂ってくる。こういう空間に出会うと、“今日は当たりだな”と直感する。

店主の一箭俊充(いちや・としみつ)さん、そして店長の山本義隆(やまもと・よしたか)さん。ふたりは巣鴨の名店「まるえ中華そば」で共に腕を磨いた経歴を持つ。カウンター越しに見るその所作には迷いがなく、静かな会話の中にも信頼関係が伝わってくる。厨房の奥には製麺機が置かれ、営業後に翌日の分を作っているという。奇をてらった素材ではなく、小麦と基本の材料を丁寧に扱う──そんな姿勢が、すでに店の空気を作っている。
二種類のチャーシューが圧巻の存在感を放つMIXチャーシュー
注文したのは、迷わず「MIXチャーシュー中華そば」。届いた瞬間、思わず息をのんだ。昔ながらの中華そばを思わせるナルト、青菜の鮮やかな緑、そして澄み切った琥珀色の醤油スープ。その上には二種類のチャーシューが贅沢に盛られ、まるで一枚の絵画のような完成度だった。

まず香りに圧倒される。芳醇な醤油の香りが湯気とともに立ち上り、鼻を抜けるだけで旨みの深さを予感させる。シンプルな醤油ラーメンなのに、濃厚な印象を放つ。崩すのも惜しいほど綺麗な麺線のストレート麺が、まっすぐスープの中に沈んでいた。
芳醇な香りと濃厚な旨みがしっかり響くスープ
ひと口飲んだ瞬間、目を閉じたくなる。しっかりとした出汁の旨みがベースにあり、そこへ醤油のふくよかな香りと甘みが重なる。濃厚だがしつこくなく、輪郭がはっきりしている。懐かしさと新しさが同居する、まさに“ネオ・ノスタルジック”の味わいだ。

鶏油のコクが丁寧に重ねられているのに、後味は軽やか。食べるほどに身体の奥に落ちていく感覚がある。気づけばレンゲが止まらない。
ツルツルと喉を滑る自家製ストレート麺
麺は自家製。店奥の製麺機で仕込み、独特のつるつる感が印象的だ。手繰り上げた瞬間の“しなる感じ”が心地よく、スープの持ち上げが抜群。ひと吸いすると、醤油の旨みが一気に口いっぱいに広がる。

小麦の香りがふんわりと残り、噛むほどに控えめな甘みが出てくる。毎晩仕込まれていると思うと、なおさら愛おしい。
炭火つるし焼きチャーシューは必食
個人的に一番衝撃を受けたのは、炭火つるし焼きチャーシューだ。表面に軽く焦げ目がつき、ひと口かじるとほのかな香ばしさが鼻に抜ける。炭火の香りと脂の甘みが見事に調和していて、「これだけで丼にしてほしい」と本気で思った。

巻きバラチャーシューももちろん美味しい。しかし、みかんに来るならまずは炭火つるし焼きチャーシューを食べてほしい。旨味の凝縮感が段違いだ。
七色に変化する調味料の世界
卓上には三種類の調味料が並ぶ。「煮干し酢」「自家製ラー油」「みかん七味」。これらがどれも素晴らしい仕事をする。
- 煮干し酢:濃厚なスープに爽やかな酸味が入り、口の中が一度リセットされる。
- 自家製ラー油:香ばしさが増し、スープのキレが一段上がる。
- みかん七味:雑味のない辛さで、味がシャープに変化する。

一気に混ぜ込まず、丼をキャンバスに見立てて1滴ずつ落とすのがおすすめ。味が七色に変わるのを楽しめる。
東京で“ネオ・ノスタルジック系”の醤油ラーメンが食べられる店は?
東京で澄んだ醤油スープの中に現代的な技法を重ねた“ネオ・ノス系”の中華そばを探すなら、中目黒「麺や みかん」は確実に候補に入る。懐かしさを土台にしつつ、確かな技術と丁寧な仕込みで完成度を高めた一杯は、ここでしか味わえない魅力がある。
まとめ──中目黒「麺や みかん」は職人が貫く“静かな情熱”を味わう場所

「手仕事」を感じる店が好きな人に、心からおすすめしたい。華やかな演出や派手な装飾ではなく、ひたすらに味を磨く姿勢が一杯の中に宿っている。自家製麺、炭火チャーシュー、丁寧なスープ──そのどれもが誠実で、温度がある。
中目黒で静かに美味しいラーメンを食べたい日、作り手の想いが伝わる一杯に出会いたい日。そんな時、「麺や みかん」はきっと期待以上の時間をくれるはずだ。
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麺や みかん 中目黒店※Instagram
【住所】〒153-0051 東京都目黒区上目黒2丁目18−9
【最寄り駅】:東急東横線「中目黒駅」から徒歩6分。 住宅街寄りの落ち着いたエリアに店を構える。 Googleマップで場所を見る
このブログについて
このブログでは、チェーン店では味わえない、その街ならではの魅力が詰まったグルメ情報を中心に発信しています。首都圏を中心に、個人経営の飲食店や地域に根付いた名店など、Web上では見つけにくい飲食店を実際に訪問し、実食をもとに率直な感想をまとめています。
紹介している店舗はすべて筆者自身が足を運び、料理の味わいだけでなく、店の雰囲気や立地、訪問時の印象まで含めて記録しています。実体験に基づいた情報を大切にしているため、初めて訪れる方でも参考にしやすい内容を心がけています。
いつもの外食から一歩踏み出し、新しい味や店との出会いを楽しみたい方に向けて、非チェーンの飲食店を中心に紹介しています。本ブログが、日々の食事選びや外出のきっかけづくりに少しでも役立てば幸いです。
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