奥浅草の住宅街に足を伸ばした理由は、丼の縁ギリギリまで張り詰めた麻婆の存在だった。南千住ラーメンの中でも明らかに異質。黒麻婆麺という名前から想像する刺激とは少し違う、旨みを押し込んだ方向性。その一杯と正面から向き合ったとき、身体がどう反応するのか。その記録を残す。
奥浅草のラーメン店「麺や鶏とだし はなれ」とは

奥浅草エリアの外れ、南千住駅から歩くとじわじわ距離を感じる位置にある一軒。麺や鶏とだしはなれは、鶏出汁を軸にしながらも黒麻婆麺という変化球を据えた店。いわゆる南千住ラーメンの中でも個性派ラーメンに振り切った構成で、ビジュアル系ラーメンとしても記憶に残る一杯を出してくる。
訪問時の並びと注文体験
到着は17時30分。並びはなし、そのまま入店。券売機で食券を購入してカウンターへ。店内は静かで、待ちのストレスがない南千住ディナー帯。座ってからしばらく、厨房からは慎重な動き。17時37分、ゆっくりと運ばれてくる一杯。その運び方だけでただのラーメンではないとわかる。
麺や鶏とだし はなれ「黒麻婆麺(ライスセット)」を注文

注文は黒麻婆麺(ライスセット)1400円。単品は1250円。うずらの玉子が3つ、刻み玉ねぎ、小ネギ、中央にナルト。麻婆豆腐が主役でありながら、ラーメンとして成立させる構成。南千住ラーメン実食レビューの中でもかなり異色。
着丼直後の第一印象|こぼれそうなラーメンという緊張感

丼の縁ギリギリ。液体が揺れている。店員が歩幅を抑えている理由がここで理解できる。黒というより深い赤。表面に油が薄く広がり、光を反射している。うずらが沈みかけている。刻み玉ねぎが浮いている。湯気は立ちすぎない。香りは鼻に刺さらず、じわりと重たい。表面張力ラーメンという言葉がそのまま当てはまる。
スープの味わい|シビ辛ラーメンだが“押し付けてこない辛さ”
レンゲで表面を崩すと、粘度は麻婆豆腐ほどではないが確実に重さがある。一口目、辛さを警戒していた舌が少し拍子抜けする。刺激はあるが、刺してこない。塩味は丸く、角が立たない。代わりに挽肉と油の旨みがまとわりつく。

食べ進めると温度はしっかり高いまま維持される。油が膜になっている感覚。舌の上で軽く粘る。時間が経つにつれて、額に汗が滲む。辛さではなく、熱と旨みの圧で出てくる汗。気づくと頬を伝って落ちる。花椒ラーメン的な痺れは控えめで、山椒ラーメンのような鋭さもない。あくまで旨辛の領域に留まる。
後味は引きずる。飲み込んだ後も口の中に油と肉の余韻が残る。レンゲを置くタイミングが遅れるタイプの濃厚ラーメン。だが重すぎて止まるわけではない。もう一口いける、と身体が判断する。
麺の味わいと食感|濃厚ラーメンに対抗する太麺
麺は太い。持ち上げた瞬間に重さがある。表面はややザラつき、スープを抱え込む設計。すすろうとすると躊躇する。跳ねる。結果、静かに口に運ぶことになる。

歯を入れると弾くようなコシ。噛み切るというより押し返される感覚。スープの粘度が麺にまとわりつき、一口ごとの情報量が多い。南千住駅周辺ラーメンの中でもここまで麺とスープが拮抗している一杯は少ない。
咀嚼回数が増える。自然と食べるスピードが落ちる。だが箸は止まらない。スープの重さに対して麺が負けていない。
麺量は体感で太麺による咀嚼増加で腹持ちが良いタイプ。食べ進めるとしっかり満腹感が出るボリュームだった。
白米と麻婆スープの出会いは必然だった

途中から白米に手を出す。麻婆スープをレンゲで掬い、そのまま落とす。音が軽く鳴る。米がすぐに色を変える。口に入れるとラーメンとは別の食べ物になる。挽肉が底に沈んでいるので、後半にかけて濃度が上がる。そのタイミングで白米に移すと密度が違う。
麺を食べ終えた後、丼の底を探る。残った具材を集めてかける。即席の麻婆丼。南千住グルメという枠を超えて、これはもう一食分の満足感になる。
食べ進めた後半の変化|味変で奥行きを足す
後半、味は単調になり始める。濃度が高い分、逃げ場がない。ここで卓上のにんにく酢と青唐酢を使う。直接入れない。レンゲに取ってから少しずつ。にんにく酢は輪郭をぼかし、青唐酢は軽く跳ねさせる。

温度は維持されたまま、油の重さはじわじわ効いてくる。満腹感は強い。完飲は現実的ではない量。だが最後まで飽きさせない調整はできる。
総評|この一杯はどんな人に刺さるか
黒麻婆麺は、見た目のインパクトで終わらない。南千住ラーメンおすすめの中でも、記憶に残るラーメン。強みは圧倒的なビジュアルと旨みの密度。弱みは立地とボリューム。軽く食べたい人には向かない。

近くにあれば通うタイプ。遠いと少し躊躇するが、それでも思い出す。南千住ラーメン体験記としてはかなり濃い一杯だった。
この一杯を一文で表すと:表面張力を活かして旨みを極限まで丼に詰め込んだ一杯
並び時間や店内の雰囲気
並びはなくスムーズに入店できたが、席数は多くないためタイミング次第で詰まりそうな構造。提供は約7分と早め。店内は落ち着いていて無駄な音が少ない。卓上にはにんにく酢と青唐酢。客層はこの日は若めで、近隣からふらっと来ている空気。南千住食べ歩きの中でも穴場ラーメン東京に分類される位置。
店舗情報
店名:麺や鶏とだし はなれ※Instagram
住所:〒111-0023 東京都台東区橋場1丁目32−7
最寄り駅:東京メトロ日比谷線「南千住駅」から徒歩20分。 住宅街寄りの落ち着いたエリアに店を構える。 Googleマップで場所を見る
営業時間:11時00分~14時45分、17時00分~20時45分
定休日:月曜日、火曜日
訪問日:2026年4月19日、日曜日、17時30分
到着時間:17時30分
入店:17時30分
着丼:17時37分
退店:17時55分
注文:黒麻婆麺(ライスセット)(黒麻婆麺単品1250円、ライスセット1400円)
体感並び時間:並びなく店着ご足入店、券売機でチケットを購入してカウンターに座る
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