2026年5月3日。ゴールデンウィーク真っ只中の日曜日。久しぶりに家族が揃うことになり、夜は焼肉を食べに行く流れになった。店選びを担当したのは肉にうるさい長女。何度も通っているらしく、「ここは間違いない」と言われ向かったのが中目黒の「炭火焼肉ホルモンうしごろ」だった。
18時に予約入店。中目黒駅から歩いて数分、店内に入るとすでに満席だった。焼肉店らしい賑わいはあるのに、肉が焼ける音は想像より静かだった。低い火力で丁寧に火を入れるような空気がある。網は新品のように綺麗で、店員さんも頻繁に交換を気にかけてくれる。途中で排煙トラブルが起き、煙が店内に溜まる場面もあったが、不思議と嫌な空気にはならなかった。

正直、ホルモン専門店と聞いていたので、もっと雑多で煙に包まれた空間を想像していた。だが実際はスタイリッシュで、席間も広い。中目黒という土地柄もあるのか、大人向け焼肉の空気感が強かった。この時点では、ホルモン中心に軽く食べる流れを想像していた。
最初のタン塩で“焼き方の基準”を探り始めた
最初に頼んだのは極みのタン。メニューに赤丸が付いていたこともあり、最初の一皿として迷わなかった。焼肉のスタートをどう切るかで、その後の流れが決まる気がしていた。網はまだ真っ白な状態。備長炭の熱だけが静かに立ち上がっている。

5分ほどで運ばれてきたタンは、刻みネギが大量に盛られていて、自由が丘の「漢江」のタン塩を思わせる見た目だった。炭火に乗せても脂が暴れない。ジュッという激しい音も出ない。薄切りタンの端だけがゆっくり反り返っていく。
片面をしっかり焼き、裏返したあとネギ側を10秒ほど炙る。トング越しに伝わる熱がまだ軽い。最初の一口を待つ時間だけが妙に長く感じた。
口に入れると、タンの歯応えのあとから刻みネギの香りが広がる。一般的なタン塩よりも輪郭が独特で、塩だけではない旨みが舌の奥に残る。焼肉のスタートとしてはかなり静かな入り方だったが、その静けさが逆にこの店の焼きの方向性を決めた気がした。
牛テールが届き、最初の想定が少し崩れ始める

タンの余韻がまだ残る中、牛テール、ツラミ、コメカミが一気に届いた。ここで最初の注文判断が少しズレ始める。網はまだ綺麗だったが、一気に複数部位を焼く流れになると、どこに何を置くかを考え始める必要が出てきた。
牛テールは黒板メニューに書かれていて、店員さんからも薦められた一皿だった。見た目は肉というよりホルモンに近い。脂が落ちるたびに小さく火が立つ。ここでようやく焼肉らしい匂いがテーブルに広がった。
しっかり焼きを選んだ。表面が締まり始めた頃に口へ運ぶと、歯切れは決して良くない。だが噛むたびに旨みが滲み続ける。タン塩の軽さから一転して、一気に焼肉の温度が上がった感覚があった。
ツラミで“焼きと注文のテンポ”が噛み合い始める

牛テールの脂がまだ口に残る状態でツラミを焼き始める。網には少しずつ脂が落ち始め、炭火の熱も安定してきた。ここで焼きすぎると固くなると感じ、全体に火が入った瞬間で止めるようにした。
塩タレのツラミに軽くレモンを絞る。脂は強すぎないが、噛んだ瞬間に繊維の奥から旨みが出てくる。テールとは違い、食感と旨みのバランスがかなりいい。
このあたりから、焼きのリズムが掴めてきた。早く食べるより、“今の口内に何を重ねるか”を考える流れに変わっていく。中目黒の焼肉店らしい上品さはあるが、肉の力はかなり強い。
コメカミで脂の蓄積を意識し始める

ツラミの余韻が残る中でコメカミを焼く。網にはうっすら脂が広がり始め、焼き目も付きやすくなっていた。ここで店員さんが自然に網交換を提案してくれる。若いスタッフが多いが、焼きの流れをちゃんと見ている。
コメカミはツラミより脂が強い。焼きすぎると硬くなりそうだったので、表面が縮み切る前に網から上げた。口に入れると脂の甘みが先に来る。ツラミより旨みの輪郭は弱いが、その分わかりやすく酒が進む。
ここでようやく、“この店はホルモン屋なんだ”という感覚が出てきた。肉そのものより、脂と炭火の香りをどう繋ぐかが楽しくなってくる。
センマイ刺しで口の中を一度リセットする

濃厚な部位が続き、ここで一度流れを切り替えたくなった。注文したのはセンマイ刺し。焼き物が続いた網は少し黒くなり始めていたが、ここで箸休めを入れることで焼きのペースも整う。
白センマイは細切りきゅうりと胡麻油で和えられている。コリコリした食感のあとに、きゅうりのシャキシャキ感が重なる。辛タレを付けなくても十分に成立していた。
脂が蓄積した口の中が、一度リセットされる。ここでようやく次の肉をどう組み立てるか考える余裕ができた。
ハラミで店の実力を測りにいく

焼肉店でハラミが弱い店は信用しない。個人的にそう思っているので、ここでハラミを追加した。口の中は一度整っていたため、純粋に肉の濃さを感じやすい状態だった。
両面に焼き目を付ける程度で止める。網の中央より少し端で火を入れると、脂が暴れすぎない。肉の表面が軽く膨らんだところで食べる。
噛んだ瞬間に弾力が返ってくる。だが重くない。濃厚なのに後味が軽く、何枚でもいけそうな危険さがあった。ここで満腹感よりも、“次は何を頼むか”が先に頭へ浮かんだ。
赤身角切りで後半戦の流れを変える

ハラミが良かったことで、赤身も試したくなった。ここまで塩中心で来ていたので、にんにく醤油で空気を変えにいく。
角切り肉を転がしながら焼く。全面がグレーに変わったあと、網の端で少し休ませる。脂が落ちるたびに煙が上がり、店内の空気がさらに焼肉らしくなっていく。
にんにく醤油に潜らせると、一気に味の方向が変わる。塩焼肉の流れが続いていたところに、濃いタレが割り込んでくる。この時点でかなり腹は満たされていたが、逆に酒が進み始めた。
名物ホルモン盛り合わせで流れを修正する

終盤で名物ホルモン盛り合わせを投入した。正直、ここまででかなり食べている。だがホルモン専門店に来て、看板を避ける選択肢はなかった。
提供には少し時間がかかったが、シマチョウ、ミノ、ハチノス、コプチャンが並ぶ皿はかなり迫力がある。辛タレを選んだのは、にんにく醤油の余韻を上書きしたかったからだった。
脂が網に落ちるたび火が立つ。煙が一気に増える。新鮮なホルモンらしく臭みはないが、念のためよく焼きで進めた。
シマチョウとコプチャンの脂はかなり強い。辛味と脂が混ざることで、レモンサワーを飲む速度が急に上がった。一方で、終盤にこの重さを入れたことで、少し流れが暴れ始めた感覚もあった。
タン刺しで終わり方を調整する

辛味と脂を一度落ち着かせたくなり、タン刺しを追加した。ここでさらに重い肉へ行くより、一度ネギで口を戻したかった。
たっぷりの刻みネギを巻きながら食べる。焼き物ではないので網も休まる。熱を持ち続けていたトングを一度置く時間にもなった。
ネギの香りで口の中はかなり整理される。ただ、タン自体には少し癖も残る。それでも、このタイミングではその癖すらありがたかった。
A5黒毛和牛の切り落としで“この日の判断”が決まった

最後に頼んだのはA5黒毛和牛の切り落とし。ここまでかなり食べていたが、口の中が一度軽くなったことで、もう一度脂を欲し始めていた。
軽く炙り、ごま油へ潜らせる。肉の表面だけが縮み、中心はまだ柔らかい。口に入れた瞬間、今まで食べてきた部位とは違う柔らかさが舌へ落ちた。
しかも値段を考えるとかなり安い。この皿だけは結局もう一度追加した。終盤にここまで食べる流れになるとは、最初のタンを食べていた時には想像していなかった。
食後に残ったのは“高級感”よりも焼きの流れだった
21時に退店。3人で好き放題食べて飲み、会計は約2万2千円だった。安い店ではない。ただ、中目黒という場所で、この肉質と接客、そして焼きの流れを考えると納得感はある。
もし順番を変えるなら、ホルモン盛り合わせはもう少し早めでも良かった気がする。終盤に辛味と脂を重ねたことで、一気に満腹感が押し寄せた。

逆に、ハラミから赤身角切りへの流れはかなり良かった。塩からタレへ移るタイミングが綺麗にハマっていた。
向いているのは、いい肉を少しずつ焼きながら酒を飲みたい人。焼肉デートや、中目黒で少し贅沢なディナーを探している人にも合うと思う。
逆に、煙モクモクの大衆ホルモンを期待すると少し違う。量を安く大量に食べるタイプの店でもない。
【向いている人】
中目黒で落ち着いて焼肉を食べたい人、ホルモン初心者、炭火焼肉をゆっくり味わいたい人、焼き加減を楽しみたい人。
【向いていない人】
とにかく安く大量に食べたい人、煙と雑多感を求める昔ながらのホルモン店が好きな人。
↓東京都内で出会えるおすすめグルメ「焼肉」編↓
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炭火焼肉ホルモンうしごろ 中目黒店
【住所】〒153-0051 東京都目黒区上目黒2丁目12−11 TODA BLD 1F
【最寄り駅】:東京メトロ日比谷線「中目黒駅」から徒歩3分。 飲み屋街の一角に店を構える。 Googleマップで場所を見る
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