ゴールデンウイークの成田詣。参道を歩きながら、遠くから漂ってくる炭火の香りに足を止めた。成田「川豊」は、暖簾の前まで近づくほど蒲焼の匂いが濃くなっていく店だった。今回食べた上鰻重は、甘さで押し切るタイプではなく、炭火の香ばしさと脂の柔らかさを前に出す関東風。行列込みでも記憶に残る、“参道体験そのもの”だった。
成田山新勝寺の参道にある“うなぎ店”「川豊」とは

成田山表参道の中心で、参道の煙を立ち上らせ続ける成田老舗うなぎ店。創業明治43年。暖簾の前では職人が活鰻を捌き、焼き場では炭火焼きうなぎの煙が絶えず流れている。木造三階建ての本店は国登録有形文化財にも登録されていて、成田山門前町の景色そのもの。店構えを見上げているだけで、成田名物うなぎの空気が始まっていた。
店頭で鰻を捌くライブ感を味わえる老舗鰻店

川豊本店の前に立つと、まず耳に入るのは包丁の乾いた音だった。捌き場では二人の職人が黙々と鰻割きを続けている。手元だけが異様に速い。活鰻がまな板の上で滑り、串打ち、白焼き工程へ流れていく。
そのすぐ横では炭火焼き。煙と香りが参道側へ流れ、通りを歩く人の足が自然に止まる。食欲を刺激する香りという表現が、そのまま景色になっていた。店頭実演を眺めているだけで腹が減る。焼き場から立つ蒲焼の匂いが、成田参道グルメの空気を支配していた。
訪問時の並びと注文体験&入店のコツ

訪問日は2026年5月5日。ゴールデンウイーク真っ只中。13時10分頃に川豊行列へ加わろうとしたが、この時点で本店の待ち時間は3時間だった。
さすがに断念しかけたが、店員さんから「臨時店舗なら15分ほど」と案内を受ける。すぐにはなれへ移動。13時15分頃に到着し、その場で注文。整理券制というより、店員さんの案内で流れていく形だった。
驚いたのは提供スピード。13時25分頃には川豊上うな重が運ばれてきた。休日行列の印象が強い店だが、時間帯次第でかなり状況が変わるらしい。
余談だが、食後に成田山新勝寺へ戻る途中、14時50分頃に再び川豊本店前を通ると待ち時間は20分まで短縮されていた。川豊整理券や開店前待機の情報を調べる人も多いが、ピークを外せば登録有形文化財の店内で食べられる可能性は十分ありそうだった。
臨時店舗の空気感と客層

今回は本店ではなく臨時店舗での食事。古き良きドライブイン食堂のような空気感だった。店内は明るく、テーブル間隔は広すぎない。年季の入ったテーブルが並んでいる。
客層は老若男女ばらばら。参拝帰りらしき家族連れもいれば、一人で黙々と食べている人もいる。観光客に人気の店という印象は強いが、想像していたほど外国人観光客ばかりではなかった。
店内は騒がしいというより回転重視の空気。店員さんの動きが速い。本店に入れなかった悔しさは残るが、時は金なり。こういう判断も成田観光グルメでは大事だと思った。
蓋付きの鰻重が到着

配膳された瞬間、重箱の隙間から炭火の香りが漏れてきた。黒塗りの重箱は想像していたより厚みがある。持ち上げると熱が指に伝わる。
肝吸いから立つ湯気。蓋の内側に閉じ込められている蒲焼の匂い。まだ開けていないのに、甘さ控えめのタレと炭火の煙が混ざった香りだけで口の中に唾液が出る。
周囲の卓でも次々とうな重実食が始まっていて、店全体が鰻の焼ける香りに包まれていた。
上鰻重の蓋を開けた瞬間の第一印象

蓋を開けると、最初に立ち上がったのは炭火の香りだった。
鰻は重箱いっぱいに横たわり、艶のある焼き色が光を反射している。真っ黒に焼き込むタイプではない。表面には細かな照り。香ばしい焼き目の下に、蒸し工程を挟んだ関東風うなぎらしい柔らかさが見える。
タレはご飯へ均一に落ちていて、粒立ちの良いご飯が隙間から少しだけ覗く。湯気に混ざる継ぎ足しのタレの匂い。ワクワクが止まらなかった。
タレの味わいと後味
最初に感じたのは、想像より軽いという感覚だった。川豊の継ぎ足しダレは、濃厚系というより上品寄り。口へ入れた瞬間に甘さが前へ来るタイプではない。先に来るのは炭火の香ばしさ。その後から醤油感と鰻の脂が追いかけてくる。

関東風蒲焼としては比較的あっさり。粘度も強すぎない。ご飯へ染み込んでいるのに、ベタつきが残らない。タレご飯だけを口へ入れても重たさがない。
焦げ感は控えめ。ただ、焼き場で付いた炭の香りが後味に細く残る。その香りが、ふわっとした身の脂と混ざる。だから甘さ控えめのタレでも物足りなさは出ない。
食べ進めるほど、タレが鰻の脂を邪魔していないことに気づく。濃いタレで押し切るのではなく、肉厚な身の柔らかさを通す方向。老舗グルメらしい完成度だった。
後半になっても舌が疲れない。継ぎ足しダレ特有の深みはあるのに、後味だけが妙に軽い。派手ではないが、食べる速度が落ちにくいタイプの味だった。
関東風うなぎらしい焼きと食感
この上うな重レビューで最も印象に残ったのは、身の厚みだった。箸を入れると抵抗が弱い。蒸し工程を挟んだ身が、繊維ごとふわっと崩れる。口へ入れると脂がほどける感覚。重たい脂ではない。熱で柔らかく溶けていく。

皮は関西風のパリパリ系ではなく、とろっとした質感。口に残りにくい。皮処理の丁寧さがかなり目立つ。脂との一体感が強く、身と皮の境目が曖昧になる瞬間がある。
焼き色は艶重視。炭火焼きうなぎらしい香ばしさはしっかりあるが、焦がして押すタイプではない。香りを立てながら、柔らかさを優先している焼き方だった。
ご飯との一体感も強い。タレが米粒を潰していないので、噛むたびにご飯の粒感が残る。その上へ鰻の脂が重なる。技術型の関東風うなぎという印象だった。
量は体感で味わいを堪能しながら食べると程よい量を腹の下に感じる。食べ進めるとしっかり満腹感が出るボリュームだった。
食べ進めた後半の変化
後半になっても、タレの重さで箸が止まる感覚はなかった。
温度が少し落ちると、鰻の脂の甘みが前へ出てくる。ただ、それでも脂が重たく残りにくい。関東風らしい蒸しの柔らかさが最後まで続いていた。
途中で山椒を少しかけると、炭火の香りが一段締まる。香りの輪郭が sharper になる感覚。単調になるどころか、後半の方が香りの層が見えやすかった。
うなぎ口コミで「最後に重たくなる」という話を見ることもあるが、この日は逆。食べ進めてもスピードが落ちない。簡単に完食だった。
総評|この鰻重はどんな人に刺さるか
成田山新勝寺うなぎを探している人の中でも、「参道体験込み」で記憶に残したい人にかなり刺さると思う。
川豊上うな重の強みは、炭火の香りと職人技を食べる前から体験できること。店頭で捌くうなぎ、煙に包まれる参道、暖簾前の行列、その全部が一杯へ繋がっている。
逆に、濃厚なタレで押し切るタイプのうなぎ名店を求める人には少し上品に感じるかもしれない。ただ、脂の質感や皮の柔らかさ、後味の軽さはかなり完成度が高い。
観光地価格でも納得感は強い。並んででも食べたいという声が出る理由は、味だけではなくライブ感込みだからだと思う。
成田観光でまた参道を歩くなら、次こそ川豊本店の建物で食べてみたい。
この鰻重を一文で表すと:行列込みでも満足度が高い、観光地価格でも納得感がある、店頭で捌くライブ感込みで印象に残る、成田参道体験とセットで記憶に残る
並び時間や店内の雰囲気
ゴールデンウイークの13時台は本店で3時間待ち。ただ、臨時店舗への案内があり、移動後は15分ほどで着席できた。料理提供もかなり速い。回転力は高めだった。
卓上調味料は山椒中心のシンプル構成。客層は参拝帰りの家族連れから年配夫婦、一人客まで幅広い。外国人観光客もいるが、日本人比率の方が高く感じた。
臨時店舗は食堂感のある空気。本店前の煙と香りのライブ感が強烈なので、待っている時間そのものが成田山ランチの一部になっている感覚がある。
店舗情報
店名:川豊
住所:千葉県成田市仲町386
最寄駅:JR成田駅・京成成田駅 徒歩約11分
営業時間:10:00〜17:00
定休日:年中無休に近い営業形態
訪問日:2026年5月5日(ゴーデンウイークの真っ只中)
本店到着時間:13時10分頃
入店:13時15分頃(臨時店舗)
提供:13時25分頃
退店:13時45分頃
注文:上鰻重(4300円※価格は訪問時点のものです。最新価格は公式サイトをご確認ください)
体感並び時間:13時10分頃本店に到着、この時点で入店までの待ち時間が3時間、とても3時間も待てない事を伝えると臨時店舗を案内されそちらなら15分ほどで食べられるとの事、早速はなれに移動し13時15分頃本店とは別の臨時店舗に到着、料理を注文すると13時25分頃驚くべきスピードで提供される。余談だが大事な話をひとつする。食べ終わり成田の山道を後にする14時50分ころに川豊の本店前を通る時に待ち時間を確認すると20分に縮まっていた、時間をずらせば国登録有形文化財に登録された店内で鰻重が食べれそう
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川豊本店 成田山新勝寺参道
【住所】〒286-0027 千葉県成田市仲町386
【最寄り駅】:JR総武快速線「成田駅」から徒歩13分。 成田山新勝寺に続く参道に店を構える。 Googleマップで場所を見る
このブログについて
このブログでは、チェーン店では味わえない、その街ならではの魅力が詰まったグルメ情報を中心に発信しています。首都圏を中心に、個人経営の飲食店や地域に根付いた名店など、Web上では見つけにくい飲食店を実際に訪問し、実食をもとに率直な感想をまとめています。
紹介している店舗はすべて筆者自身が足を運び、料理の味わいだけでなく、店の雰囲気や立地、訪問時の印象まで含めて記録しています。実体験に基づいた情報を大切にしているため、初めて訪れる方でも参考にしやすい内容を心がけています。
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