東京の焼きとん・もつ焼きを食べ歩いていると、同じ豚もつを使った串焼きでも、店に入った瞬間の空気や焼き場との距離、目の前に出てきた串の表情まで、それぞれ違うことに気づきます。そこで今回は、実際に自分で訪れて食べた東京の焼きとん・もつ焼き店から、各店で印象に残った一品を一つずつ取り上げます。
路地裏のこぢんまりしたもつ焼き店もあれば、カウンターを囲むように人が集まる酒場もあります。立ち飲みからテーブル席のある大衆酒場まで、店の広さや席の距離感もさまざま。もちろん、そこで味わった串にも、それぞれの店で違う第一印象がありました。
この記事で東京の焼きとん・もつ焼きの正解を決めるつもりはありません。ランキングや点数も付けず、実際に足を運んだときの店の空気と、最初に串を見て、香りを感じ、ひと口食べたところまでをまとめています。気になる店があれば、最後の個別記事からその先の実食へ進んでみてください。
- 上野・稲荷町「もつ焼き けいすけ」白レバのトロッとした第一印象
- 野方「秋元屋」“月見つくね”に卵黄を絡めるひと口
- 中野「泪橋」焼きとん5本から始まる昭和酒場の一串
- 京成立石「三平」にんにくの香りが立つ“豚ねぎま”
- 御徒町「まるわ」ハツ串から伝わる焼きとんの素朴な表情
- 経堂「優貴」つくねとピーマンが並ぶ“つくピー”
- 中野「ばかたれ ずっちゃん」網脂に包まれた“あみレバー”
- 新宿「もつ焼きウッチャン」谷中生姜を包む“谷中だんご”
- 目黒「ひろや」厚みのある“上タン”をひと口
- 新宿「沼田」つくねとピーマンが並ぶ“つくP”
- 東京の焼きとん・もつ焼きを食べ歩いて感じた店ごとの違い
- 東京の焼きとん・もつ焼きで一人飲みするならどんな店?
- 東京の焼きとん・もつ焼き食べ歩きは個別記事へ
上野・稲荷町「もつ焼き けいすけ」白レバのトロッとした第一印象

外観と店内の空気
上野駅から少し歩いた東上野の路地裏にある「もつ焼き けいすけ」。稲荷町駅からは徒歩2分ほどの場所で、開店前から人が並ぶこともある店です。店内に入ると席は埋まりやすく、仕事帰りに立ち寄る大衆酒場らしい空気があります。路地裏に入って店を目指すところから、上野の飲み屋街とは少し違った距離感で酒場に入る感覚がありました。

焼き目のついた白レバにトロッとした質感
今回紹介するのは白レバ。焼き目が付いたレバー串で、内部にはしっとりした質感が残っています。通常のレバーよりもトロッとした印象があり、白レバらしい柔らかな肉質を思わせる見た目です。
焼いたレバーの香ばしさに、レバー特有の肉の香りとタレの香りが重なります。ひと口含むとレバーの味わいがしっかり感じられ、臭みはなく、しっとりねっとりした口当たり。トロッとした感覚とレバーそのものの味わいが最初に広がりました。
野方「秋元屋」“月見つくね”に卵黄を絡めるひと口

外観と店内の空気
野方駅からすぐの場所にある「秋元屋」。店内にはカウンター席とテーブル席があり、串焼きを囲んで酒を飲む大衆酒場らしい活気があります。席数も比較的多く、店内はにぎやか。開店前から行列ができることもあり、週末には人が集まっている空気を感じました。

焼き目のついたつくねに卵黄が映える
月見つくね串は、丸みのあるつくねに卵黄を合わせるスタイル。焼き上がったつくねには焼き目が付き、その隣の卵黄が映えます。串そのものに酒場らしいボリューム感があり、卵黄を絡めて食べることがひと目で分かる見た目です。
焼きつくねの香ばしい肉の香りに、焼けた肉とタレの香りが重なります。卵黄を合わせてひと口食べると、つくねの肉の旨みがあり、タレの味わいを卵黄が包むような第一印象。つくねと卵黄が合わさることで、口当たりがまろやかになりました。
中野「泪橋」焼きとん5本から始まる昭和酒場の一串

外観と店内の空気
中野駅北口から徒歩5分ほど、昭和新道にある「泪橋」。昔ながらの居酒屋らしい渋い店構えで、店内は狭め。カウンターとテーブル席があり、席同士の距離も近く、ぎゅっとした空気があります。焼きとんを焼く酒場として、仕事帰りに一杯飲む時間をそのまま受け止めるような店内でした。

違う部位が並ぶ5本の焼きとん
注文したのは、お疲れ様セットの焼きとん5本。おまかせで5本が盛られ、すべて違う部位でした。どの串にも焼き目がしっかり付き、炭火で焼いた串らしい香ばしそうな表情。1人で向き合うには5本でもしっかりとした存在感があります。
焼き場からは炭火の香ばしさと焼いた豚肉の香りが立ち上がります。ひと口目では炭火の香ばしさが口に広がり、豚肉の旨みも感じられました。5本それぞれの部位を食べる最初の一口ごとに、焼きとんらしい力強さが伝わってきます。
京成立石「三平」にんにくの香りが立つ“豚ねぎま”

外観と店内の空気
京成立石駅から徒歩2分ほどの「三平」。昔ながらの大衆居酒屋らしい店内で、カウンターと小上がりがあります。立石らしい下町の酒場の空気があり、店内には活気があります。気取らず酒と串を楽しむ距離感で、豚もつを使った焼き物を前にすると、この街の酒場らしさが自然に伝わってきました。

豚肉と焼きネギを濃いタレが包む
豚ねぎまは、豚肉と焼きネギを組み合わせた串。表面には照りのあるタレが絡み、豚肉とネギの両方に焼き目が付いています。一般的なねぎまよりも濃いタレ色が目に入り、焼き上がった豚肉と焼きネギが一本にまとまった姿です。
焼き場から漂うにんにくの香りがまず強く立ち、焼いた豚肉、ネギ、にんにく醤油ダレの香りが重なります。ひと口目では豚肉の肉汁がじゅわっと広がり、にんにく醤油ダレのコクが強く感じられました。焼きネギの甘みも豚肉と重なり、最初から味わいの存在感がある串でした。
御徒町「まるわ」ハツ串から伝わる焼きとんの素朴な表情

外観と店内の空気
御徒町駅から徒歩2分ほど、アメ横近くの飲み屋街にある「まるわ」。1階は立ち飲みを中心とした造りで、2階と3階には着席できる場所があります。昼から酒を飲む人の姿もあり、サラリーマンや昼飲み客でにぎわう大衆酒場。御徒町の飲み屋街らしい気軽な距離感で、焼きとんを前に酒を飲む空気がありました。

焼き目の付いたハツをシンプルに見る
今回紹介するのはハツ串。焼き目の付いたハツが串にまとまり、食べやすい大きさに焼き上がっています。表面には香ばしさを感じさせる焼き色があり、もつ焼きらしいシンプルな串焼きの姿です。
焼いた豚ハツの香ばしい香りに、焼き場から立ち上がる肉の香りが重なります。ひと口目ではハツらしい弾力を感じ、しっかりした肉質から旨みが出てきました。もつ特有の香りを強く感じることなく、焼きとんらしい肉の味わいが最初に伝わってきます。
経堂「優貴」つくねとピーマンが並ぶ“つくピー”

外観と店内の空気
経堂駅南口から徒歩2分ほどの「優貴」。住宅街の中にありながら、店内に入ると大衆居酒屋らしい活気があります。カウンター席もあり、もつ焼きを囲んで酒を飲む距離感。駅から近いこともあり、店内には若い客の姿もありました。

丸いつくねと緑のピーマンがひとつの串に
つくピーは、焼き上がったつくね串にピーマンを合わせるタイプ。丸みのあるつくねと緑色のピーマンのコントラストが目に入り、つくねには焼き目が付いています。肉と野菜を一緒に味わうことが見た目から分かる一本です。
焼きつくねの香ばしい肉の香りに、炭火で焼いた串らしい香ばしさが重なります。そこへピーマンの青々とした香り。ひと口目ではつくねの肉の旨みとジューシーさを感じ、ピーマンの苦みと青みが重なりました。肉の味わいをピーマンが受け止めるような第一印象です。
中野「ばかたれ ずっちゃん」網脂に包まれた“あみレバー”

焼き場を目の前に飲めるこぢんまりした店内
中野駅北口から徒歩4分ほど、裏路地にある「ばかたれ ずっちゃん」。L字カウンターとテーブル席があるこぢんまりした店内で、焼き場を目の前にして飲めます。ビニールカーテンのある昔ながらの大衆酒場らしい雰囲気もあり、店内は狭め。焼き場との距離が近く、串が焼き上がっていく様子を身近に感じられました。

網脂がレバーを覆う独特な一本
あみレバーは、レバーを網脂で包んだような特徴的な見た目。焼き上がると網脂が表面を覆い、脂が焼けた照りも出ています。肉厚なレバーを感じさせるボリュームがあり、一般的なレバー串とは違う姿が目に入ります。
焼いたレバーの香ばしさに、網脂が焼ける香りと豚の脂の香りが重なります。ひと口目ではレバーの旨みがしっかりあり、柔らかな口当たり。レバー特有の臭みを強く感じることなく、網脂によるコクが加わった第一印象でした。
新宿「もつ焼きウッチャン」谷中生姜を包む“谷中だんご”

思い出横丁の狭い空間で焼き場を囲む
新宿西口の思い出横丁にある「もつ焼きウッチャン」。店内は狭く、席同士の距離もかなり近い空間です。焼き場を囲むように席が並び、店内には煙が立ち込めています。思い出横丁らしい活気の中で、目の前で焼かれるもつ焼きと向き合う距離感が印象に残りました。

谷中生姜をつくねが包む独特の姿
谷中だんごは、谷中生姜を串に見立て、つくね生地を豪快に巻き付けた独特の形。つくねから谷中生姜の先端が出ていて、一般的なつくね串とは明らかに違う姿をしています。焼き目の付いたつくねが生姜を包み、一本でも存在感がありました。
焼いたつくねの香ばしい肉の香りに、谷中生姜の爽やかな香りが重なります。ひと口目ではつくねの肉の旨みと表面の香ばしさを感じ、そこへ生姜の爽やかな風味が入ってきました。生姜の辛味とつくねの肉の味わいが重なり、通常のつくねとは違う第一印象です。
目黒「ひろや」厚みのある“上タン”をひと口

店頭まで炭火焼きの煙と香りが届く
目黒駅から徒歩5分ほど、権之助坂を下った先にある「ひろや」。店内には厨房を囲むカウンター席があり、テーブル席もあります。大衆居酒屋らしいにぎやかな空気で、店頭まで炭火焼きの煙と香りが漂っていました。焼き場との距離を感じながら、串焼きを酒と一緒に楽しむ店内です。

厚みのあるタンに焼き目が付いた一本
上タンは厚みのあるタンで、表面には軽く焦げ目が付いています。薄切りのタンとは違って串としての存在感があり、適度に脂が乗った表情。焼き上がった表面の焼き目と、中心部分のしっとりした肉質を思わせる厚みが目に入りました。
焼き目から立つ香ばしい肉の香りに、炭火で焼いたタンらしい香ばしさが重なります。ひと口目では表面の香ばしさと中心のしっとりしたジューシーさを感じました。サクサク、コリコリした歯応えもあり、噛むほどにタンそのものの肉の甘みが出てくる第一印象です。
新宿「沼田」つくねとピーマンが並ぶ“つくP”

カウンターだけの小さな昭和酒場
新宿三丁目駅から歩いた先にある「沼田」。カウンターのみの小さな店で、昭和レトロな雰囲気があります。席数が限られた空間に人が集まり、店内には活気がありました。串焼きと酒を目の前のカウンターで楽しむ、距離の近いもつ焼き店です。

塩つくねとピーマンをひとつの串で
つくPは、丸みのあるつくねにピーマンを組み合わせた串。焼き目の付いたつくねの横にピーマンが添えられ、肉の焼き色とピーマンの緑色が並びます。「つくね+ピーマン」という組み合わせが見た目から分かる、特徴のある一本です。
焼いたつくねの香ばしい肉の香りに、炭火で焼いた串の香ばしさが重なります。ピーマンからは青々しい香りも感じました。ひと口目では軟骨入りのつくねにコリコリした食感があり、塩味のつくねから肉の旨みが伝わります。みずみずしいピーマンがつくねと重なり、肉の味わいをさっぱり受け止める第一印象でした。
東京の焼きとん・もつ焼きを食べ歩いて感じた店ごとの違い

今回食べ歩いた東京の焼きとん・もつ焼きは、同じジャンルに入る串焼きでも、最初に目に入る表情がかなり違いました。
焼き目の付いたレバーを前にして、その柔らかな見た目からひと口目へ進んだ店。卵黄を絡めることで、つくねの姿にもう一つの表情が加わった店。5本のおまかせ串を前に、それぞれ違う部位が並んだ店もあります。
にんにくの香りが先に立つ串もあれば、焼き場から漂う炭火の香ばしさが印象に残る串もありました。谷中生姜をつくねで包んだ一本のように、見た瞬間に他の串とは違うことが分かるものもあります。
店内についても、焼き場との距離が近いカウンター中心の店、立ち飲みを含めて複数階に席がある店、狭い空間にカウンターとテーブルが詰まった店など、それぞれ違いました。同じ東京のもつ焼き酒場でも、実際に入ってみると過ごす場所の感覚は一軒ずつ異なります。
東京の焼きとん・もつ焼きで一人飲みするならどんな店?

今回訪れた店には、一人でカウンターに座った店もありました。厨房や焼き場を囲むカウンターでは、目の前で串が焼かれていく距離感があり、テーブル席がある店ではまた違った店内の広がりがあります。
狭い店では席同士の距離が近く、店内全体の空気を感じながら飲むことになりました。立ち飲みを中心とした店では、席に座ることとは違う距離感で酒と串に向き合っています。
一人飲みでどの店が自分に合うのかは、店の広さやカウンターの位置、席の距離など、実際に入ってみたときの感覚によっても変わると思います。今回の10軒も、そうした店内の違いを含めて個別記事に詳しくまとめています。
東京の焼きとん・もつ焼き食べ歩きは個別記事へ

ここでは、東京で実際に食べ歩いた焼きとん・もつ焼き10軒について、店の空気と各店で紹介した一品の第一印象までをまとめました。
白レバ、月見つくね、焼きとん5本、豚ねぎま、ハツ、つくピー、あみレバー、谷中だんご、上タン、そしてもう一軒のつくP。同じ「焼きとん」「もつ焼き」という括りでも、目の前に出てきた串の姿や香り、最初のひと口から受ける印象はそれぞれ違います。
ここでどの店が一番なのかを決めるのではなく、気になった一軒から個別記事へ進んでみてください。実際に訪れたときの店内の様子や、そこで食べた料理については、それぞれの記事でさらに詳しく紹介しています。
このブログについて
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